Meta広告(Facebook広告、Instagram広告)を運用していて、「購入」や「リード獲得」といった標準イベントだけでは、ビジネスの“本当の成果”を捉えきれていない…と感じたことはありませんか?
「特定の資料請求ボタンだけ計測したい」「あのサンクスページへの到達をコンバージョンにしたい」。 そんな、あなたのビジネス専用のゴール(コンバージョンポイント)を自由に設定できるのが「カスタムコンバージョン」機能です。
この機能を使いこなせば、標準イベントでは捉えきれないビジネス固有の成果を定義でき、Meta広告の“頭脳”である機械学習の精度が劇的に向上し、広告の最適化が次のレベルへと加速します。
この記事は、Meta広告の成果計測をさらに一歩先へ進めたい、すべてのウェブ担当者やマーケター、開発者の方々に向けて書かれています。
この記事を読み終える頃には、以下の2つの主要な設定方法をマスターし、すぐにでも計測を改善できるようになるでしょう。
- 【コード不要】 最も手軽な、サンクスページなど特定のURLをゴールにする方法
- 【要コード】 ボタンクリックなど、特定のアクションをピンポイントで計測する方法
始める前の最重要チェック:Metaピクセルは設置できてますか?
カスタムコンバージョンを設定する前に、絶対にクリアしなければならない前提条件があります。 それは、Metaピクセルのベースコードが、計測したいサイトの全ページに正しく設置されていることです。
ベースコードは、サイトの<head>タグ内に設置される計測の土台です。これがなければ、カスタムコンバージョンは一切機能しません。GTM(Googleタグマネージャー)経由での設置も一般的です。
Metaイベントマネージャを開き、ピクセルが「アクティブ」になっていることを必ず確認してから、次のステップに進んでください。
アプローチ1:【コード不要】最短ルートで設定する「URLルール」
これは、特定のページ(例:購入完了ページ、資料請求サンクスページ)への「到達」をコンバージョンとして設定する、最もシンプルで迅速な方法です。ウェブサイトのコードを一切触る必要はありません。
⚙️ Meta側での設定手順(3ステップ)
- イベントマネージャを開く Meta広告マネージャの左側メニュー(すべてのツール)から「イベントマネージャ」を選択します。
- カスタムコンバージョンを作成 対象のデータソース(ピクセル)を選択した状態で、左側のメニューから「カスタムコンバージョン」をクリックし、「カスタムコンバージョンを作成」ボタンを押します。
- 設定項目の入力 以下の項目を慎重に設定します。
- 名前: 後から見ても一目でわかる名前(例:「資料請求完了(サンクスページ到達)」)を入力します。
- データソース: 対象のMetaピクセルが選択されていることを確認します。
- コンバージョンイベント: 「すべてのURLトラフィック」を選択します。これが「全てのページアクセスを監視する」という意味になります。
- ルール:
- ドロップダウンで「URL」を選択します。
- 条件を「次を含む」(または「次と等しい」など)から選択します。
- コンバージョン地点となるページのURLの一部または全部を入力します(例:
thank-youや/contact/complete.html)。
- 作成 「作成」ボタンをクリックすれば完了です!
この設定により、指定したURLルールに合致するページにユーザーがアクセスするたび、設定したカスタムコンバージョンが計測されます。
アプローチ2:【要コード】ピンポイントで計測する「イベントコード」
この方法は、「サンクスページが存在しないボタンクリック」や「特定のフォーム送信アクション」など、URLの遷移だけでは計測できない複雑なアクションをコンバージョンとして設定する、より高度な手法です。
サイト側での**「イベントを送信するコード」の設置と、Meta側での「そのイベントをコンバージョンとして定義する」設定**の2つのステップが必要です。
ステップ1:サイト側の準備(イベントコードの設置)
まず、計測したいアクションが発生した瞬間に、「今、イベントが起きたぞ!」とMetaに知らせるためのコードをサイトに設置します。
例1:標準イベント(リード獲得)を設置する場合 資料請求のサンクスページなどで、ピクセルベースコードの後(通常は</body>タグの直前)に以下のコードを設置します。
// 標準イベント「リード」を送信
fbq('track', 'Lead');例2:GTM(Googleタグマネージャー)を使用する場合 GTMの「カスタムHTML」タグなどを使うのが便利です。特定のボタン(例:IDが contact-button)がクリックされた時に、以下のコードが実行されるようトリガーを設定します。
<script>
// ここにGTMのトリガー設定(例:クリックトリガー)
// が必要です。
// 「Click_ContactPage」という名前のカスタムイベントを送信
fbq('trackCustom', 'Click_ContactPage');
</script>例3:HTMLのonclick属性を直接使用する場合 GTMを使わず、サイトのHTMLに直接記述する方法です。特定のボタン(例:資料請求ボタン)のHTMLタグに onclick 属性を追加し、クリック時にイベントが発火するようにします。
<!-- 例:IDが 'downloadButton' のボタンがクリックされた時 -->
<button id="downloadButton" onclick="fbq('trackCustom', 'DownloadClick');">
資料ダウンロード
</button>例4:パラメータを使用してイベントを区別する場合(重要) ページ内に「資料ダウンロード」ボタンが複数ある場合、どのボタンが押されたかを区別する必要があります。この場合、イベントにパラメータを渡します。
<!-- ページ内に複数のダウンロードボタンがあるケース -->
<!-- 資料Aのボタン -->
<button onclick="fbq('trackCustom', 'DownloadClick', { content_name: 'document_A' });">
資料Aをダウンロード
</button>
<!-- 資料Bのボタン -->
<button onclick="fbq('trackCustom', 'DownloadClick', { content_name: 'document_B' });">
資料Bをダウンロード
</button>この例では、両方のボタンが同じ DownloadClick というイベントを発火させますが、content_name というパラメータに異なる値(’document_A’と’document_B’)を渡しています。これにより、Meta側でどちらのボタンがクリックされたかを区別できます。
サイト側の実装が完了したら、必ずイベントマネージャの「テストイベント」機能を使って、設定したイベント(Lead や Click_ContactPage, DownloadClick など)と、設定したパラメータ(content_name など)が正しくMetaに届いているかを確認しましょう。
ステップ2:Meta側でのカスタムコンバージョン定義
イベントが無事にMetaに届いていることを確認できたら、いよいよそのイベントを「コンバージョン」としてMetaに公式認定させます。
- イベントマネージャを開く アプローチ1と同様に、「イベントマネージャ」 > 「カスタムコンバージョン」 > 「カスタムコンバージョンを作成」に進みます。
- 設定項目の入力 ここがアプローチ1と大きく異なる点です。
- 名前: わかりやすい名前(例:「資料Aダウンロード完了」)を入力します。
- データソース: 対象のMetaピクセルを選択します。
- コンバージョンイベント:
- 「すべてのURLトラフィック」ではなく、ステップ1で設定したイベント名を選択します。
- (例:標準イベントの場合は
リード、カスタムイベントの場合はClick_ContactPageやDownloadClick)
- (オプション)ルール:
- ここが重要です。 ステップ1の例4のようにパラメータを設定した場合、そのパラメータに基づいてコンバージョンを定義できます。
- 「ルールを追加」をクリックします。
- ドロップダウンから「イベントパラメータ」を選択します。
- パラメータ(例:
content_name)を選択(または入力)し、条件(例:「次と等しい」)と値(例:document_A)を指定します。 - これにより、「
DownloadClickイベント」かつ「content_nameパラメータがdocument_A」の場合のみを計測する、特定のカスタムコンバージョンを作成できます。(「資料B」を計測したい場合は、同様にdocument_Bを指定した別のカスタムコンバージョンを作成します)
- 作成
📈 最終チェック:正しく動いているか確認しよう
設定が完了したら、それが「絵に描いた餅」でないか、実際に機能しているかを確認する作業が不可欠です。主な確認方法は2つあります。
方法1:イベントマネージャの「テストイベント」機能(推奨)
Metaが公式に提供するテスト機能で、リアルタイムでイベント受信を確認できます。
- イベントマネージャ > テストイベント を開きます。
- 「ブラウザイベントのテスト」セクションに対象サイトのURLを入力し、「ウェブサイトを開く」をクリックします。
- 別ウィンドウで開いたサイト上で、設定したコンバージョンアクション(例:サンクスページへアクセスする、対象のボタンをクリックする)を自分で実行してみます。
- 「テストイベント」の画面に戻り、設定したカスタムコンバージョン名(およびその元となったイベントやページビュー)がリアルタイムで受信されていることを確認します。パラメータを設定した場合は、そのパラメータが正しく受信できているかもここで確認します。
方法2:Chrome拡張機能「Meta Pixel Helper」
開発者や日常的なチェックに便利な、Google Chromeの拡張機能を使った方法です。
- インストール: Chromeウェブストアから「Meta Pixel Helper」を検索し、ブラウザに追加します。
- サイトを開く: カスタムコンバージョンを設定したサイトのページ(アクションを起こす前のページ)を開きます。
- アイコンを確認: ブラウザのツールバーにあるMeta Pixel Helperのアイコンをクリックします。まず、ベースコードである「PageView」イベントが正しく発火しているかを確認します。
- アクションを実行: サイト上でコンバージョンアクション(例:ボタンクリック、サンクスページへの遷移)を実行します。
- 発火を確認: 再度アイコンをクリックし、設定したイベント(例:
LeadやDownloadClick)が緑色のチェックマークと共に表示されているかを確認します。イベント名をクリックすれば、送信されたパラメータ(例:file_name: 'document_A')も確認できます。 - 発火を確認: 再度アイコンをクリックし、設定したイベント(例:
LeadやDownloadClick)が緑色のチェックマークと共に表示されているかを確認します。イベント名をクリックすれば、送信されたパラメータ(例:content_name: 'document_A')も確認できます。 (注意:Pixel Helperは「イベント」が発火したかを確認するものです。それが「カスタムコンバージョン」としてMeta側で認識されたか(アクティブになったか)の最終確認は、方法1またはイベントマネージャの概要欄で行う必要があります。)
両方の方法でテストし、ステータスが「アクティブ」になれば成功です! 作成したカスタムコンバージョンが広告の「コンバージョン」目的などで選択できるようになり、あなたの広告運用は新たなステージに進みます。
結論:カスタムコンバージョンで、広告運用の解像度を上げよう
Meta広告のカスタムコンバージョンは、広告の成果をあなたのビジネスの「本当のゴール」と正確に結びつけるための、強力な武器です。
- サンクスページがあるなら、手軽な「URLルール」(アプローチ1)ですぐに始められます。
- より複雑なアクションを追いたいなら、「イベントコード」(アプローチ2)でピンポイント計測に挑戦しましょう。パラメータを活用すれば、さらに詳細な計測が可能です。
まずはご自身のサイトの計測したいポイントがどちらの方法に適しているかを確認し、本記事の手順に沿って設定を進めてみてください。
成果計測の精度を高めることが、広告運用の最適化に向けた最大の近道です。正確なデータをMetaの“頭脳”に学習させ、一歩先を行く広告配信を実現しましょう!